ユバールの星空

忘れたくないキラメキを、拙い言の葉でそっと閉じ込めて

デスカムトゥルー感想(ネタバレ有り)

今作は、雑に言ってしまえば“死に戻り”ゲーで主人公が選択を迫られ続けるスリリングさを愉しむゲーム。リゼロやシュタゲなんかを実写映画風に味付けした感じ。

この「実写映像をゲームに使う」って発想が今作の没入感を圧倒的に高めていて、自分だけの映画を観ているような至高のゲーム体験だった。

 

例え選択を間違え死に戻ったとしても前ループの記憶は引き継がれるし、周回する度にどんどん世界が変わっていくので同じ行動を取っても同じ結果になるとは限らない為、私みたいにRPGで全部の宝箱を取りたいってタイプの人は「今ふざけて選択するべきか、真面目に答えるべきか」という悩みにぶち当たって結構もどかしくなる(これがまたゲームとして楽しい)。が、ゲーム自体が結構短く2時間くらいでサクサクっとクリア出来てしまうので、その気になれば何回でも1からまた遊べるのは良心的だし、何より取っつきやすい。


ラストはニーア仕様。究極的な選択を時間制限のある中突き付けられ、どちらを選んだとしてもセーブデータは初期化される。「世界か自分か」なんてほど規模はデカくないが、DDLCみたいな感じと例えるのが一番近い気がする。こういうの好き。


ただ、話自体はすぐに先が見える凡庸なものなのが今作の欠点かなと思う。設定自体は何回も擦られているであろう定番の記憶喪失やループや仮想現実世界なので、話単品ではあっと驚かされるような事はなかった。

その為キャラクターに感情移入出来る要素が少なく、最後の演出はすごく良かったのにキャラに愛はないから実質選択肢一つじゃん……って少し勿体無いなと感じる所はあった。

 

総括として、ゲームシステムの創意工夫・趣向を楽しむ為に買うならオススメのゲームと言える。選択システムと絡み合う事で、物語体験に緊張感や自由度が増し新鮮な面白さが生まれていくのを是非その身で体験して欲しい。

 

というよりこの画期的なシステムを活かしたキャラゲー、凄く見たいな。

昔は実在してるアイドルと付き合う恋愛ゲームみたいなのも出てたし、それをデスカムトゥルー風にアレンジして自分の愛する人間を前にあの最後の決断を突き付けられたいなぁと思ってしまうのは、流石に感傷マゾが過ぎるか。